十二弟子のアンデレ② 終末への興味

はじめに

マルコによる福音書13章1~4節(74p)

3節 またオリブ山で、宮にむかってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにお尋ねした。

今月は十二弟子の一人、アンデレに焦点を当てて宣教を行っている関係で、宣教箇所はアンデレと関係がある箇所が選ばれている。同時に召天者記念礼拝にも関係がある世の終わりについての箇所を選んだ。キリスト教では世の終わりの事柄を終末という。人間が死ぬとどうなるのかという内容や、この世界の段階的な終わり方も終末のテーマである。

歴史は繰り返す

今回の箇所の注目点の一つは、イエスの三大側近のペテロ、ヤコブとヨハネに続いて、めずらしく弟子のアンデレの名が登場していること。普段は目立たないアンデレなのだが、彼も終末に特別な関心があったことが伺える。イエスと弟子たちがエルサレムの神殿区域(これを「宮」と表現)から谷を隔てて向かい側にあるオリブの木の庭園があるオリブ山に移動した時の会話。

1節 イエスが宮から出て行かれるとき、弟子のひとりが言った、「先生、ごらんなさい。なんという見事な石、なんという立派な建物でしょう」。2節 イエスは言われた、「あなたは、これらの大きな建物をながめているのか。その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることもなくなるであろう」。

と聞き捨てならない預言をした。

紀元前586年頃にイスラエルはバビロニア帝国に征服される。その時に国の有力者と技術者がことごとく連行され、農民だけが残された。これをバビロン捕囚と呼ぶ。70年後に城壁と神殿の再建が許され、その時に建設された第二神殿と城壁がイエスの時代まで続いていた。イエスの預言は、またもや神殿が手ひどく破壊されることを意味していた。

イエスが預言した終末とは

4節 「わたしたちにお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。またそんなことがことごとく成就するような場合には、どんな前兆がありますか」。5節 そこで、イエスは話しはじめられた、「人に惑わされないように気をつけなさい。6節 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだと言って、多くの人を惑わすであろう。7節 また、戦争と戦争のうわさとを聞くときにも、あわてるな。それは起らねばならないが、まだ終りではない

今回はイエスの預言の詳細には触れない。それよりも、イエスの預言がどう現代までに成就しつつあるかに焦点を当てる。イエスの預言は約40年後の紀元66~70年にかけて起きるローマ帝国との第一次ユダヤ戦争からと関連があるようにも考えられる。その時以来、イスラエルは約1900年間歴史の表から国名が消えたからである。しかし、13章全体を読むと、もっと将来の世界の終焉に関わる預言だということに気づかされる。是非、この章の最後まで各自で読んでいただきたい。

現代では、13節までの内容は実現したと考えられる。特に7節の「戦争と戦争のうわさ」は今の世界の現状そのもの。ウクライナに続き、イスラエルでも始まったハマスとの戦争が長引き、犠牲者が増加の一途を辿るニュースに毎日接する。紀元70年にローマ軍によって国が神殿もろとも破壊されてしまって以来、ユダヤ人にとって、国の復興とエルサレム神殿の再建は長年の悲願だったことは多くの人が知っている。しかし、どういうわけかユダヤ人がイスラエルには長年住んでいなかったように報道されているのを度々聞く。しかし、バビロン捕囚の時と同様にユダヤ人は常にイスラエルの地に住み続けて来た

イスラエルに住み続けた先住民族

国名と領土は戦争で剥奪されたが、今から約3200年前にモーセとヨシュアに導かれ、紀元前1200年頃に現イスラエルの地域に定住してからというもの、国のあるなしに関わらず、常にユダヤ人はその土地に住み続けて来た先住民族だという視点が欠落している。紀元70年に国が滅んでからも、紀元115~117年にかけて起きた第二次ユダヤ戦争でもユダヤ人たちは独立戦争を試みて失敗している。紀元132-136年に展開した第三次ユダヤ戦争では、ユダヤ軍が勝利を収めた時期もあった。これをバル・コクバの乱というが、この時はローマ皇帝ハドリアヌスによるエルサレム神殿跡地に別の神殿を立てる計画割礼を廃止する計画があることに反抗して起きた反乱であった。しかし、最終的に敗れ、ローマ帝国の属州ユダヤという地名もパレスチナ・シリアに改名されてしまうことになる。それでも、その頃のユダヤ人たちが全員国外追放されたわけではない。

これらも考慮されて1947年、国連はパレスチナ国とイスラエル国を設立する決議案を採択する。これを不服としてイスラム教が支配的なアラブ周辺諸国がイスラエルが建国を果たす1948年にすぐさま戦争をしかける。これが第一次中東戦争で、この戦いは1967年にイスラエルが勝利を収める第三次中東戦争まで約20年続くことになる。

イスラエルとパレスチナが直面する新たな脅威

今、そのユダヤ人が新たな敵を前にして非常な困難に直面している。敵は国ではないユダヤ人を滅ぼすことを公言しているテロ集団。今回拉致された人々だけでなく、人口の半分が未成年というガザ地区の市民も南に移動することも許されず、人間の盾として用いられている。パレスチナはヨルダン川流域にも自治区が存在するが、今回の同時攻撃には加わっていない。今回の非人道的な行為はガザ地区を実効支配しているハマスによるものであり、パレスチナの総意ではない。ハマスの幹部層は海外の安全なところから攻撃の指示している。目的達成のためには手段を選ばない。こう言う相手と戦うことがいかに困難を極めることか。現在のイスラエルとパレスチナ市民は異次元の脅威と向き合わされている。

本当の幸福とは

人は神の教えを学び、神が与えておられる人生の目的を実践しながら生きるために創造された。戦争や暴力によって殺されるために生まれて来たのではない。神の祝福を受けて感謝しながら生きるために生まれて来たのであって、呪われるために生まれて来たのではない。しかしながら、いつしか神への服従を第一としなくなった人間世界は、神の祝福を回復するすべを見失って現在に至っている

愛するものたちの喪失を「失う悲しみ」や「別れの辛さ」で体験してきた私たち。この世の現実から永遠に解放されないならば、そこに希望は存在しない。しかし神は死や悲しみ、あるいは憎しみや復讐などを永遠に根絶するためにイエス・キリストを救い主として人類に啓示して下さった。ここに希望がある。ここに神からの祝福を回復する道が存在する。だから、私たちは召天者記念礼拝に出席し、希望を失わずにこれからも生きることができる。

この一年間内に新たに召天者に加えられた方もいる。この世での出会いを与えて下さった神に感謝しつつ、神と召天者たちに恥じない歩みをこれからの一年もイエス・キリストに導かれていけるよう祈念する。

2023年11月12日(日)<召天者記念礼拝> 北九州キリスト教会宣教題
「十二弟子のアンデレ②終末への興味」 

礼拝動画は下のリンクからご覧ください。

https://www.youtube.com/live/pgLya5Z0wsE?si=LG09_HMgT6ztOB1z