幼子を祝福したシメオン
老人シメオンとはどんな人物だったのか?
ルカによる福音書2章25~35節(86p)
25 その時、エルサレムに①シメオンという名の人がいた。この人は②正しい③信仰深い人で、イスラエルの慰められるのを待ち望んでいた。また④聖霊が彼に宿っていた。
彼について語る時、この箇所から5つのことが浮かび上がってくる。
①シメオンは「主は(祈りを)お聞きになる」という意味の名前を持つ人物。この名前の持つ意味自体興味深いのではないだろうか。「名は体を表す」と言われるように、彼はこのような人物になることを期待されて親から名前を付けられたということ…「息子が誠実な人生を送ることによって、神が息子の祈りを聞いて下さる」という期待を込めて付けた名前であろう。そういう意味では両親の願い通りにシメオンは成長していく。そして…②神の目に正しい生き方を長年実践した人物であり…
③信仰心があり、聖書の教えに日頃から精進していた人物だったことがわかる。しかも…
④聖霊が宿っていた…聖霊が宿るという表現は最上級の賛辞であり、神から特別な使命が与えられている場合に用いられる表現…そこでシメオンにはどんな神の使命が与えられただろうか。この主人公がなぜイエスのご降誕との組み合わせで聖書に登場するのか、そこに今回の思案のしどころがある。
シメオンはなぜ神から特別な約束・使命を受けることができたのだろうか?
26 そして主のつかわす救主に会うまでは死ぬことはないと、聖霊の示しを受けていた。
なぜ、シメオンにこのような特別な神からの約束が与えられたのだろうか。これを可能にしたのは何だったのか。これを理解することが今回の勘所になる。
少なくとも最初の2節から理解できることは、彼が神の目に叶う生き方を長年して来た人物だったわけだが、それ以外にも③と④の間に表現されている彼の祈りが語られている。
「イスラエルの慰められるのを(祈りながら)待ち望んでいた」ということ。彼はその望みを高齢になっても捨てなかったのである。「聖霊の示し」を受けたのがいつだったのかは正確にはわからないが、これは彼の長年の真剣な祈りの結果であったことは容易に想像できる。
聖書の最重要な預言である人類のメシヤが与えられ、イスラエルが慰められることをあきらめずに祈り続けた人物だったのである。
妻と一緒に渡米した時に現地で与えられた信仰
1999年8月~2000年7月まで米国アラバマ州のレイクビュー教会で牧師研修を一年間体験させていただいた。すでに結婚して5年が経っていたが、思うように子どもは与えられていなかった。滞在中に妻はみ言葉から子どもをこれから授かると信じて行動に移す。そして一人で赤ちゃん用品店に行き、クリスマスに着せるかわいいベビー服を買って帰ってきた。その信仰に励まされて神の時を夫婦で待つことにした。
子どもがなかなか与えられなかった理由の一つは子宮筋腫が結婚後間もなく見つかったからだった。それでも、2年後に子どもを授かることとなる。しかし、私たちの友人の中には子どもを授からなかった夫婦もいる。養子縁組した夫婦もいる。祈りや願いは必ず聞かれるとは限らない。しかし、結果はどうあれ、神に全面的に委ねて信じて待つことの大切さを私たちは教えられた。今回のシメオンこそ、約束の実現を長く待ち続けた人物。
シメオンが果たした大事な役割とは?
27 この人が御霊に感じて宮にはいった。すると律法に定めてあることを行うため、両親もその子イエスを連れてはいってきたので、28 シメオンは幼な子を腕に抱き、神をほめたたえて言った、29 「主よ、今こそ、あなたはみ言葉のとおりに/この僕を安らかに去らせてくださいます、30 わたしの目が今あなたの救を見たのですから。31 この救はあなたが万民のまえにお備えになったもので、32 異邦人を照す啓示の光、み民イスラエルの栄光であります」。33 父と母とは幼な子についてこのように語られたことを、不思議に思った。34 するとシメオンは彼らを祝し、そして母マリヤに言った、「ごらんなさい、この幼な子は、イスラエルの多くの人を倒れさせたり立ちあがらせたりするために、また反対を受けるしるしとして、定められています。――35 そして、あなた自身もつるぎで胸を刺し貫かれるでしょう。――それは多くの人の心にある思いが、現れるようになるためです」。
シメオンはこの日、聖霊によって予め特別なことが起きることを予感して宮に行ったとある。イエスと両親が宮に来ると、時を移さずシメオンは幼子イエスを腕に抱いて神を賛美した。29-30節でついにこの世での使命が果たせたことを賛美している。しかし、その次に語りだした預言の言葉こそ、マリヤとヨセフ、そして我々が傾聴すべき言葉である。
31節で最初に強調したことは、幼子が万民=世界中の人=異邦人(ユダヤ教以外の人)とユダヤ人の両方に神が遣わされた特別な存在だと預言した。両親は意味が分からず不思議に思う。それからシメオンはイエスの最後に立ち会うことになる母マリヤに関係ある預言をする。34節で彼は幼子がやがて支持派と反対派の板挟みになる神の定めにあること。そしてマリヤが胸を刺し貫かれるような経験をしなければならなくなることまで語るのであった。息子の人生は茨の道、試練の道だと預言したのである。
シメオンは両親に息子が神のために果たすべき尊い使命のために、覚悟を決めて御心に叶う育て方をするよう促し、預言したのである。どれだけマリヤとヨセフの身が引き締まったことであろうか。イエスの両親のその後にどれだけ影響を与えたか計り知れない。
世界中の教会とクリスチャンに託されている終末の福音
シメオンが果たした役割は現代の我々にも通じるものがある。国や民族が相争う中、キリストは十字架のあがないと復活を通して全世界に救いと平和をもたらすためにこの世に来られた。シメオンの時から始まった世界への明確な福音宣教に始まり、私たちはその後に与えられた新約聖書により、終末に向かう人類への福音と預言を託されている。
この使命はシメオンのようにライフワーク=生涯をかけた使命である。いつキリストが再臨してもいいように、約束の実現を辛抱強く待望しながら世界平和と世界中の人々の救いのために伝道し、祈り続けよう。
2023年12月17日(日) 北九州キリスト教会宣教題
「幼子を祝福したシメオン」
礼拝動画は下のリンクからご覧ください。
https://www.youtube.com/live/vzsR_vwWWt4?si=xcWs-v6jE-jzLfnR
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