キリスト教特有の教え④ 新しい契約

じめに

ルカによる福音書22章20節(128p)

食事ののち、杯も同じ様にして言われた、「この杯は、あなたがたのために流すわたしの血で立てられる新しい契約である。」』

キリスト教ならではの教え、第四回目は主の晩餐に関係する聖句です。イエス様が十字架にかけられる前の晩、弟子たちと行った主の晩餐の中で「新しい契約」について言及されました。なぜ、イエス様が流す血新しい契約になるのでしょうか。そもそもどのような「古い契約」があり、それがどのように新しくされるのでしょうか。本日行われる主の晩餐式を、より深い理解を持ち、心を込めて行うために、共にみことばの光に照らされてまいりましょう。

神との契約のはじまり…創世記6章17~19節

17節 わたしは地の上に洪水を送って、命の息のある肉なるものを、みな天の下から滅ぼし去る。地にあるものは、みな死に絶えるであろう。18節 ただし、わたしはあなたと契約を結ぼう(未来形)。あなたは子らと、妻と、子らの妻たちと共に箱舟にはいりなさい。19節 またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二つずつを箱舟に入れて、あなたと共にその命を保たせなさい

神と人との間で最初に「契約」が取り交わされるのはノアの洪水物語の中です。神との契約は」を保つことが目的だということが表現されています。この具体的な内容は洪水物語のクライマックスである9章でより明らかになります。

「命」に対する神の責任が強調されている契約…創世記9章3~5節

洪水後、箱舟からノアたちが出た時、9章3~5節で神様は次のように語ります。

3節 すべて生きて動くものはあなたがたの食物となるであろう。さきに青草をあなたがたに与えたように、わたしはこれらのものを皆あなたがたに与える。4節 しかし肉を、その命である血のままで、食べてはならない。5節 あなたがたの命の血を流すものには、わたしは必ず報復するであろう。いかなる獣にも…。

洪水以前の世界秩序では、すべての生き物は植物だけを食糧にするように定められていました。(創世記1章29~30節)その秩序が人類の祖であるアダムとエバの長男カインから崩壊していくことになります。そしてノアの時代まで際限なく崩壊していきました。そのため、神様は世界を覆い尽くす大洪水によって命を軽んじたすべての生き物を滅ぼされたというのがノアの洪水物語です。この視点から創世記を読み直す時、洪水物語の真実が明確になります。

血を流すことは、命を奪うこと。神様はこの世のすべての生き物が互いに敬意を払うことを求められます。だからこそ、不当な流血には神の正義が働くのです。そこで人であっても、動物であっても、不当に他の命を奪う行為と故意の流血に対して必ず報復すると宣言されました。

ただし、洪水後は食糧事情が以前とは違っていました。食糧となる植物が決定的に不足していたことです。そこで制限付きで動物を食糧とすることが許されます。また、食事をする度に命の尊さを子孫に語り伝える目的もありました。神に命の代償として犠牲を捧げることは兄カインに殺されたアベルの時から始まっていました。創世記8章でノア一家が神様に捧げた礼拝は、これを理解し継承していたことを意味しています。大洪水の恐ろしさを実体験したノアと家族。多くの命の犠牲の上に自分たちがいることの重みと責任を彼らはそれまで以上に理解したことでしょう。

古い契約の意味と永続性…創世記9章9~11節

神は洪水を経験したノアたちに、再びこのような災いは起こさないと約束されます。

 「わたしはあなたがた及びあなたがたの後の子孫と契約を立てる。…地を滅ぼす洪水は、再び起らないであろう」

この契約にはじまり、旧約聖書全体で語られる神の約束のことを古い契約(旧約)と呼びますが、廃棄されたのではありません。世の終わりまで有効であり続ける契約です。この契約を「箱舟」という象徴を通して受け入れたノアたちは、神の守りの中で生き残りました。

新しい契約(新約)の登場と古い契約(旧約)との関係性

主イエス・キリストが語られた「新しい契約」は、ノアの契約とは異なり、罪と呪いからの完全な救いを約束する契約です。

この杯は、あなたがたのために流すわたしの血で立てられる新しい契約である。
(本日の箇所)

古い契約は、人の側に「守るか破るか」が問われるものでしたが、新しい契約は、イエスの血(命と犠牲で象徴される罪と呪いからの救い)を受け入れるかどうかによって成立する契約です。

イエスは次のようにも教えられました。

だれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。…その皮袋は張り裂け、酒は流れ出るし、皮袋もむだになる。だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。そうすれば両方とも長もちがするであろう。」(マタイ福音書9章17節)

律法の一点、一画もすたることはなく…全うされる。」(マタイ福音書5章18節)

旧約と新約は対立するものではなく、旧約の土台の上に新しい契約が加えられたのです。旧約には普遍的な命の教えと神の義が記され、新約は旧約では解決できなかった罪と呪いからの完全な救いを約束する契約なのです。

すべての民に開かれている神の新旧の契約

「…あなた(キリスト)はほふられ、その血(十字架で流された罪をあがなう血潮)によって、神のために、あらゆる部族、国語、民族、国民の中から人々(の罪と呪い)をあがない、わたしたちの神のために、彼らを御国の民とし、祭司となさいました。…」黙示録5章9~10節

 「…キリストは新しい契約の仲保者なのである。それは、彼が初めの契約(古い契約)のもとで犯した罪過をあがなうために死なれた結果召された者たちが、約束された永遠の(罪と呪いから解放された)国を受け継ぐためにほかならない。」へブル人への手紙9章15節

キリスト教の最大の貢献の一つがこの世に存在する罪と呪いの起源がどこにあるのかを明確にしていることです。それは神の契約に忠実かどうかに起因します。同時に聖書は新しい契約を通してそこからどのように救われることが可能かを明確にしています。

主の晩餐式を行う時、この深い神の契約の恵みと、イエス・キリストの血と命の尊さを心に刻みましょう。

2025年8月3日(日)   北九州キリスト教会宣教題
「キリスト教特有の教え④ 新しい契約」

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